その昔、奥越(福井県東部の山間エリア)に、僧兵を有して隆盛を極めていた「平泉寺」(へいせんじ)という寺がありました。僧兵の中には、極悪非道の振舞いで、近郷の民百姓を大変苦しめていた者もおり、その旗頭であったといわれる暴僧が「東尋坊」でした。東尋坊には「あや姫」という娘をめぐる恋のライバル「真柄覚念」(まがら かくねん)がいました。1182年4月、平泉寺の僧兵数十人が東尋坊を訪れ、酒盛りをしていたとき、真柄覚念は東尋坊に絶壁の上で酒や肴をすすめ、泥酔させ、隙を見て絶壁の海へ突き落としてしまいました。その後、49日間にわたって東尋坊の無念により、海は大荒れとなり、それからこの地が東尋坊といわれるようになったとのことです。
東尋坊の岩は国の天然記念物に指定されています。岩の名称は複輝石安山岩の柱状節理で、これだけ大きな規模の柱状節理の安山岩は日本でもここ一ヶ所だけ。柱状節理世界三大絶勝の一つになっています。